海へ行きたい。
6月下旬から7月の頭にかけて、結婚休暇を取得し、インドネシアのバリ島を旅した。
うってつけの環境で夏を先取りしたせいか、帰国後も、海や川、プールでも、何でもいいから飛び込みたくて仕方がない。
水着になって、サングラスをかけ、灼熱の日差しを浴びながら、HIPHOPやラテン音楽の中で揺れたい。
フルーツの掛かったグラスに注がれたトロピカルジュースをストローで吸いながら、波の音を聴いていたい。
今年は、もう、チャンスがないかなぁ。
バリで心に残った施設の1つとして、ビーチクラブがある。景観の良い浜辺で、DJが音楽を鳴らし、プールに入ったり夕陽を見たりしながら、お酒やご飯を食べられるスポットである。
チャージ料を払うとソファやデイベッドに案内され、そこを拠点にクラブ内で1日を過ごすことができる。金額は席によってまちまちだが、その分の飲食をすることができ、もちろん差額を払えば幾らでも飲食し放題である。
私たちは、Canggu(チャングー)地域にあるLa Brisa Bali(ラ・ブリサ)という綺麗な夕陽が見られるビーチクラブへ行った。
全身タトゥーの入った筋骨隆々のラテン系カップル、子ども連れの欧州系若夫婦、娘が親を無理やり引っ張ってきたであろう韓国人家族……世界中の人々が、思い思いの時間を過ごしていた。
私たちも例に漏れず、塩辛くて極上のポテトフライと爽やかなクラフトビールを飲み、プールに入ったり、写真撮影をしたりした。
『「綺麗な夕陽を見たい」という気持ちは世界共通なんだね』
妻が、ふと言った。
それぞれが好きなことをして過ごす中でも、ただ1つ、皆の目的が一致していたのは、夕陽を待っていたことだ。
太陽の偉大さを知る。
言語や文化、育って来た環境が異なろうとも、美しい自然に心惹かれるのは、本能的なものであることを実感した。
開放的で朗らかで、この自由な空間が好きだった。
世界の国々から集まった人々が、同じ方向の空を見ているこの海岸が好きだった。
日本に帰国後もビーチクラブを探してみたが、インターネット検索では営業中のビーチクラブを近場では見つけられなかった。
日本にあったら楽しいだろうなと思う反面、バリのインターナショナルでドープな雰囲気は作れないだろうなとも思う。
「THE 夏」をあと何回できるだろうか。
ここ数年の夏は、思い切って水に飛び込まなくなっていた。
年々体力は落ち、新たなことに対して、腰が重くなっている。
遠くの海に行けなくても、大きなレジャープールに行けなくても、飛び込み方だけは忘れないように訓練しておこう。
今週末は、元気を持て余した子どもたちを掻き分けて、区民体育館併設のプールで泳ごう。
もう、夏は終わる。
おすすめ記事▼