迎え来ず時刻表見て汗拭う 音沙汰のないロータリーにて
東大宮駅でバスを待つ。
予定の時間より20分以上待っている。
アナウンスもないから、本当にこちらへ向かってるのかもわからない。
生きてる価値あるのかな、ってふと思う。
別に生きてる価値がないとは思わないし、希死念慮もない。
でも、生きてる価値あるのかな、ってふと思う。
僕自身に価値があるとは思ってる。
死にたいとかじゃない、生きてる意味ってあんのかな。
きっと特に意味はない。
11時から予約していた心療内科に到着する。
10時半に受付をしても、結局、12時過ぎに終わる。
待合環境が酷く、本も読めない。
僕の前に誰が診察を受けているのかもよく分からず、時間だけが経過する。
心療内科を受診しなければならない人たちが、こんなに沢山居るんだなぁ。
普通に仕事をしていたら見えなかった。
職場には強い人しか残らないから、去って行った人たちを見えないようにしてるから。
僕自身が休むと「実は、俺も休んでるんだ」という情報が集まる。
あ、お前もそうなんだ、ってなる。
みんな出来る限り、隠しているのか。
見えないようにしているのか。
みんなツラいんだから我慢しろ、甘えたこと言うな。
じゃない。
人には人の乳酸菌、人には人の大変さ。
人によって、キツイと思うこと、感じ方には違いがある。
甘えとかじゃなくて、それぞれの考え方、大事にしたい価値観の違い。
それを踏みにじるような行為が当たり前に行われる社会、人権侵害だと思うけどね。
どんどん駅のロータリーにはお迎えが来る。
父が、制服を着た娘をミニバンに乗せる。
娘が、杖をついた母を軽自動車に乗せる。
花を抱えた中年男性と、僕はバスを待つ。
久しぶりに空に出た大きな太陽に照らされて、汗は頬をつたう。
バスは来ない。
みんなを運ぶための乗り物は来ない。
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