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台風一過、休日出勤、死屍累々

8月17日、土曜日。

台風が通り過ぎた東京は、快晴。

気温も落ち着いて、朝はクーラーをつけなくても生活できる快適さを持っていた。

 

朝食を食べ、シャワーを浴び、家を出る。

日差しは強いが、日陰に入れば心地よい風が、前髪を揺らす。

私のプロジェクトにも、嵐が来ている。

災害級の炎上で、人々はとっくに避難しているが、私は今日も救援作業に出社する。

焼け野原になった本社では、タスクで溢れかえった人が這いつくばりながら、仕事を進めている。

先人が残していった地雷をひとつひとつ拾い、たまには誤爆させながらも、確実に処理をしていく。

 

年がら年中、嵐に悩まされている。

今日は一緒に被災したメンバーと、PCと睨めっこしながら、作業を進めていく。

マインスイーパの要領で、地雷を摘出しながら課題を潰していく。

週明けにはその地雷たちをお客さんの前に持っていって、目の前で処理をしていく。

 

いつものように仕事を終え、会社を出る。

台風一過の快晴は幻だったかのように消え、高湿度のムンムンとした暑気に見舞われる。

15分ほど歩いて、電車に乗る。

そこには、カープのユニフォームを着たおじさん、つば九郎のキーホルダーをつけた若い女性など、神宮球場帰りの人々が、静かに席に座っている。

今日は広島カープ対東京ヤクルトだったのかな、と、野球速報を開く。

私の推しチームであるヤクルトスワローズが勝利を飾っており、先発投手の髙橋奎二に勝ち星がついていることを確認する。

確かに、カープおじさんは不貞腐れたように寝ており、つば九郎お姉さんはルンルン顔でスマホを弄っている。

第三者の勝敗に一喜一憂し、想ったことをぶつけ、ストレス解消だったり、逆に募ったりする野球の応援というものは面白い。

 

45分ほど電車に揺れると自宅の最寄駅に着く。

電車内のクーラーに冷やされた身体は、再度、高湿度の空気に温められる。

泥酔している大学生を横目に、帰り道を歩く。

特に面白みのないこの光景に、特別な感情は抱かない。

とにかく早く家に着き、安堵の表情を浮かべたい。

 

帰宅途中に、石ころを蹴った。

3回ほど蹴った後に、どこかに消えた。

明日は休みだ。晴れるといいな。

 

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