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【復職毎日感想文】スズキナオ『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』~100回ぐらい共感する自由研究

【早起きできた】復職トレーニング2日目

寝付きはあまり良くなかったが、アラームをかけた時間に起きられた。
PCに向かっている時間が増えると、目の奥が重たい。
通院後、蔦屋書店に寄れたのが良かった。

前日就寝時刻25:30
当日起床時刻7:00

スズキナオ『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』を読んで

「わかる」ボタンがあったなら、100回ぐらい押したい。
すべてに言及しているとキリが無いほど、細かい描写への共感が止まらない。
関西圏の話も多く、大阪赴任で尼崎在住の私からすると身近に感じられる。
色んな作品があって面白いのだが、今回は表題にもなっている1つ目のエピソードに絞ってお話する。

私は、公私ともに移動することが多い。
深夜高速バスも、この3ヶ月で10回は乗っている。
2-3年で、著者と同じくらいの経験ができるだろうか。

関東出身の私は、3週間に1回くらいのペースで地元に戻っていた。
休日出勤が重なるときは、新幹線や飛行機を使うこともあったが、休職後はもっぱら、夜行バスで大阪-東京間を移動している。

お金はないが時間はあるので、平日の夜行便を予約をする。
梅田高速バスプラザモータープールか、ハービス近くにある「VIPライナー」のラウンジから旅立つ。

乗り込むとカーテンが座席ごとについており、隣の席と遮断できる。
リクライニングを倒すことともに、このカーテンを閉めるタイミングにも気を遣う。

バスが発車し、消灯する。
真っ暗で狭い空間の中を
「カーテンの隙間からほんの少し漏れてくる道路照明の明かりがヒュンヒュンと」
横切るとき、私たちは「宇宙空間ワープ中」という感じを受ける。(「」内15頁から引用)

バス会社の対応は本当に様々だ。
配布物にせよ、注意事項にせよ、トイレ休憩の取り方にせよ、運営会社や価格帯によって大きく異なる。
本作では、この違いも、具体的なエピソードともに描かれている。

ここまで、「あぁ分かる、分かる」となった、私と同じ経験の持ち主には、この本をオススメする。
「そんなことあるわぁ」と活字の向こうの著者と一緒に盛り上がることができる。

夜行バスに乗ったことがない、そんな世界を知らなかった、という方には、より一層オススメする。
知らない世界を仮想体験できるのが、小説だったりエッセイだったりの良いところである。
私たちが体験したことのない「自由研究」を、著者が代わりにやってくれている。
つまるところ、全員に一度は読んで欲しい。


ここでいう、夜行バスは、「ゲレンデへ行くための夜行バス」とは違う。
スノボをするという明確な目的があって山奥に行くのではなく、それぞれの事情で都会から都会へ移動するときの乗り物についての話である。

隣の人が、なぜ、大阪から東京へ行くのかが分からない。
それも、快適で早い飛行機や新幹線でなく、高速バスを使う。
時々、テーマパークに行くであろう大学生の集団や観光帰りのカップルは見かけるが、乗客のほとんどはお一人様だ。
夜行バスに乗るのは、移動を娯楽として捉えず、移動するために移動している時ばかりだ。

きっと、大阪でしかできないこと、東京でしかできないことってあまりない。
それでも、都会から都会へ移動する、そこでしかできないことをするために。
そこでしか会えない人なのか、触れられないものなのか、嗅ぐことのできない匂いなのか。

このミステリアスな夜行バスに焦点が当てられている。

本書籍を手に取ったのは、社会学者の岸政彦さんが帯を書いていたからだ。
岸先生の文献は、卒業論文の際に参考文献として読ませていただいたし、何より著書である『断片的なものの社会学』がとても興味深く好きだった。
その方が薦めている本を吉祥寺の「百年」で見つけ、迷いなく購入した。

1つ目のエッセイだけで、これだけの思ったことが書ける。
全29編のエッセイが詰まった本、ワクワクが止まらないことが伝わるだろうか。

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